ボルダーとリードクライミング

2014-06-02

久しぶりにリード講習会の募集をしたので、リードをやったことのない人へちょっとリードクライミングのお話

この7、8年巷ではボルダリングが大はやり。
先日も一般の方に、「岩登りをしてきました!」ってお話をすると、
「ボルダリングですか?」って聞かれて驚きました。

私がクライミングを始めた頃は、
フリークライミング=リード、トップロープ、ボルダー

という感じで、ロープもボルダーも分け隔てなく楽しんでいたのですが、
最近の人達は、ボルダリングを単独で行っている人が非常に多いようですね。
ボルダリングジムの急増が一番の理由?

私のイメージは、ロープクライミングもボルダーも中身は一緒で、高いか、低いかの違いぐらいで、高いところを登るための安全確保にロープが必要なだけ。
って感じでした。

リードとボルダーの違いの中で、高度感や達成感の差を思い浮かべることもあると思いますが・・・

ボルダーは低い場所で、限界ギリギリな課題を何度もトライできるので、課題の強度も上げられるし、多数の人とセッションできる共有感も最高です。
道具も最小限、小難しい安全確保のロープワークの技術も必要ない。
課題の手数も5手から10手ほどの勝負の速さもこの時代にハマる理由でもあるような気がします。

対して、リード(ロープ)クライミングは・・・

1本の課題に掛ける時間も長いですし、体の疲れ方もボルダーと違いパンプアップする疲労感はボルダーとは半端なく違いますね。

長い課題(30手から100手の課題)を登りきるためには、持久力はもちろん、レストやクリップ動作が伴い、限界のホールドやムーブばかりでは続けることができません。

自身のボルダーの限界強度と、リードの限界強度を比較すると、圧倒的にリードのほうが体に優しい持ちやすいホールドや、やさしめのムーブが課題の大多数を占めないと登り切れません。(もちろん悪いホールドばかり続く課題もありますが)
ある意味、若い時にボルダーをやり込み、年を重ねてから強度を下げてリードをすると体には良いかも?

ボルダー(低い場所)であればできうるムーブを、墜落の恐怖と全身の疲労に耐えながら、1本のルート(数メートル〜数十メートル)を登りきるペース配分。体を駆使しながらも戦略の組み立てが非常に重要。
何よりもメンタルの強さが完登の可否に大きく左右されます。

力だけではなく、
長い課題のホールドやスタンスを読み解くオブザベーション能力、ムーブの想像力、
より良いポジションでのレスト技術、登りに合わせた呼吸、
ホールドを握り込みすぎず、柔らかく持つ余裕、
ロープを掛けるクリップ技術、逆にロープを預かるビレイ(確保)技術
人の命を預かる大切さ、墜落しても怪我をしない落ち方や、怪我をさせないロープの扱い方。

などなど、いろんな要素が詰まりまくっているのがリードクライミング。
少し大人なクライミングのように感じませんか?

バンバンに張った腕で、ギリギリのムーブをこなし緩急を組みたてながら終了点にロープを引っ掛けた時の充足感は、ボルダーでは得られない一味違った感覚です。
(短時間や少ない労力で達成した時の喜びは一過性で、より複雑で困難なものを乗り越えた時のほうが、満足感や幸福感は持続する。ってのも、リードの魅力?)

フィジカル(力、技術)はもちろん必要ながら、頭脳(戦略)、そしてメンタル(恐怖に打ち勝つ力や忍耐力)が最も重要な気がします。

あと、大きく違うのが課題のグレーディング。
日本のボルダーの級段式は、初段から二段、二段から三段へと、高グレードの課題になるとなかなか進みにくくなりますが、リード(デシマルグレード)であれば、課題が長い分難易度の要素が多い為、細やかなグレーディングが表示され、5.11dから5.12aへ、5.12aから5.12bへと着実にグレードを定期的に上げてゆく事ができるのも、大きな魅力。

ボルダーで頭打ちしている若者も、体に限界を感じる年配者も、リードをやったり、ボルダーをやったりすることで相乗効果を得れると思います。

ボルダーで鍛え、リードクライミングで大きなプロジェクトを仕上げていく・・・

こんなイメージでフリークライミングをとらえてみるのも良いですね!

因みに私は、ボルダーもリードもどちらも大好きです。


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